イライラしている人を見るとき、怒鳴っているかどうかだけに目が向きがちです。
でも、怒りや不満は必ずしも言葉になるとは限りません。
机に物を強く置いたり、ドアを乱暴に閉めたり、物を投げたりするなど、「モノの扱い方」に感情が表れることもあります。
「物に当たる人」は、なぜそのような行動を取るのでしょうか。
そこには、怒りの表現方法や感情の扱い方、その人なりの心理が関係しているのかもしれません。
物に当たる人とは?イライラするとどんな行動に出るのか
「物に当たる」とは、怒りや不満などの感情を、人ではなく物への乱暴な行動として表すことです。
例えば、机や椅子を強く動かす、物を投げる、ドアを勢いよく閉める、リモコンなどを乱暴に置くといった行動があります。
一見すると、人に直接怒りをぶつけているわけではありません。
しかし、「怒鳴っていないから大丈夫」とも限りません。
人が怒りを表現するとき、必ずしも相手に言葉で伝えるわけではないからです。
無言になる人もいれば、感情を整理して淡々と説明する人もいる。
その一方で、物を乱暴に扱うことで怒りを表す人もいます。
同じ「怒っている」という感情でも、どう表に出すかには、その人なりの違いが出ます。
物に当たる人の心理とは?なぜ物に当たるのか
物に当たる理由は、一つだけとは限りません。
まず考えられるのが、怒りや不満をうまく言葉にできないことです。
「何が嫌だったのか」「なぜ腹が立っているのか」を整理して相手に伝えることが得意な人ばかりではありません。
また、そもそも自分の感情を表に出すことが苦手な人もいます。
そうした人の場合、言葉ではなく行動として感情が表れることがあります。
また、怒りやストレスを外に出すことで、感情を発散している可能性もあります。
ただ、物に当たることで一時的に感情を外へ出せたとしても、怒りの原因そのものが解決するわけではありません。
反対に、怒りを表に出すことが苦手で、その感情を抱え込んだ結果、別の形で物に当たってしまうことも考えられます。
さらに、「自分はいま怒っている」ということを周囲に気づいてほしい場合もあるでしょう。
「これだけ嫌な思いをしている」「自分の気持ちを察してほしい」と、言葉ではなく態度によって伝えている可能性です。
単純に怒りをぶつけているだけではなく、「気にかけてほしい」という気持ちが含まれているケースも考えられます。
そして、怒りを自分で抑えることが苦手という可能性もあります。
怒りを感じたとき、その感情を整理したり、落ち着かせたりする方法を十分に持っていないと、感情がそのまま行動に出やすくなることがあります。
その意味では、物に当たる行動を見たとき、「怒っている」という事実だけでなく、「この人は怒りという感情をどう扱う人なのか」と考えてみることもできます。
物に当たる人は怖い?DVやハラスメントになることもある
物に当たる人を「怖い」と感じる人がいるのは、決して不思議なことではありません。
ただし、物に当たったという事実だけで、すぐにDVやハラスメントと決めつけることはできません。
一時的に物を乱暴に扱ったケースと、繰り返し相手を威圧するようなケースでは意味が違うからです。
一方で、物に当たることで相手を怖がらせたり、相手が「怒らせないようにしよう」と自分の行動を制限するようになったりしているなら、単なる「怒り方の癖」として片付けない方がいいでしょう。
特に、物を投げる、壁を殴る、ドアを蹴る、目の前で物を壊すなど、危険を感じる行動が繰り返されている場合は注意が必要です。
「人には手を出していないから大丈夫」と考えてしまうこともありますが、直接身体に触れていなくても、物を壊す音や威圧的な行動によって相手が恐怖を感じることはあります。
また、子供がいる家庭では、子供への影響も考えておきたいところです。
親が怒るたびに物に当たる姿を見ていると、子供が「怒っている人の機嫌を取らなければいけない」と感じたり、怒りを物にぶつける行動を身近なものとして捉えたりする可能性があります。
家庭の中で物に当たる行動が繰り返されているなら、「本人が何に怒っているのか」だけではなく、その行動によって周囲がどのような状態になっているのかを見ることも大切です。
物に当たる人が職場にいると?周囲や仕事への影響と対処法
職場でも、物に当たる人を見かけることがあります。
書類を乱暴に置く、キーボードを強く叩く、引き出しを勢いよく閉めるなど、誰かに直接怒鳴っているわけではなくても、周囲には「いま機嫌が悪いんだな」と伝わります。
すると、「今は話しかけない方がいいかな」「これを言ったら怒られるかもしれない」と、周囲の人が相手の機嫌を気にするようになることがあります。
ここで起きているのは、本人だけの問題ではありません。
周囲が萎縮すれば、必要な報告や相談をしづらくなったり、ミスを指摘しにくくなったりすることがあります。
本来なら確認できることまで、「怒らせたくない」という理由で聞けなくなることもあるでしょう。
そうなれば、本人の感情の問題が、周囲の仕事の進め方やパフォーマンスにまで影響してしまいます。
物に当たる人への対処を考える場合は、相手の感情が高ぶっているときに無理に正面から刺激せず、必要であれば距離を取ることも大切です。
職場で同じような行動が繰り返されているなら、一人で抱え込まず、上司や人事など第三者に相談する方法もあります。
相手を変えようと一人で背負うのではなく、自分まで消耗しない距離感を考えることも必要です。
人によって態度を変える人の心理とは?相手によって態度が違う人の特徴
物に当たるのは「甘え」?八つ当たりとの違い
物に当たる行動を「甘え」と表現することがあります。
自分の感情を自分で処理する代わりに、物を乱暴に扱うことで周囲に気持ちをぶつけているように見えるからです。
その意味では、自分の怒りのやり場を自分だけで処理できず、周囲に「察してほしい」と求めているような面がある場合もあります。
ただ、「物に当たる=甘えている」とだけ考えてしまうと、その人がなぜその行動を取っているのかまでは見えません。
怒りを言葉にすることが苦手なのか。感情を抱え込みやすいのか。それとも、自分が怒っていることに気づいてほしいのか。
同じ物に当たるという行動でも、その背景には違いがあります。
そして、イライラすること自体は誰にでもあります。
違いが出るのは、その感情を感じたあとに「何をするか」です。
黙って一人になる人もいれば、頭の中で感情を整理してから淡々と話す人もいる。物に当たる人もいる。
だから人を見るときは、「怒ったこと」だけではなく、「怒ったときにどう振る舞ったのか」に目を向けると、その人への理解が少し変わってきます。
イライラしている人は「モノの扱い方」に人間性が出る
人は怒っているとき、必ずしも言葉で怒りを伝えるわけではありません。
物を強く置く。ドアを乱暴に閉める。物を投げる。
そうした「モノの扱い方」に、その人が感情をどう表現する人なのかが表れることがあります。
もちろん、一度の行動だけでその人の人間性すべてを判断する必要はありません。
大切なのは、その行動が繰り返されているのか、周囲を怖がらせるものになっているのか、そして本人が怒りをどう扱っているのかを見ることです。
これは怒りに限った話でもありません。
例えば、プレゼントを渡したときに大きく喜ぶ人もいれば、嬉しくても感情を表に出すのが苦手な人もいます。反応が薄かったからといって、必ずしも「嬉しくなかった」とは限りません。
人を見るときは、一つの行動だけで答えを出すのではなく、その人が普段どのように感情を表す人なのかまで含めて見る。
イライラしている人の「モノの扱い方」も、その人を知るための一つのきっかけになるだろう。

コメント