第一印象は一度決まると変わらないのでしょうか。
実は、人は相手を見ているようで、その人について自分の頭の中で作り上げた「物語」を見ているのかもしれません。
飲食店で体験した出来事をきっかけに、第一印象が更新される瞬間について人間観察の視点から考えてみます。
第一印象で「愛想のない店員」だと思った
平日の昼時、大手外食チェーンで昼食をとることにした。
店内には次々とお客さんが入ってくる。厨房も忙しそうだ。そんな中、一人の女性店員が入口まで来てくれた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか。」
笑顔はない。目も合わない。
「一人です。」
そう答えると、こちらを見ることもなく厨房へ戻りながら、
「カウンター席どうぞ。」
その一連の対応を見て、私は「愛想のない店員さんだな」と思った。
この店の味が目的だったので、深く考えず昼食を楽しむことにした。
会計で、私の第一印象は覆された
いつも注文する料理を食べ終え、会計のためにレジへ向かった。
すると、入店した時と同じ店員さんが会計を担当してくれた。
内心、「あ、この人か。帰り際まで愛想のない対応をされたら後味が悪いな」と少し身構えた。
ところが、私の予想はあっさり裏切られた。
「1000円です!」
そう言った店員さんの表情は、入店時とはまるで別人のような満面の笑みだった。
思わず目が点になった。
下を向いたまま淡々と会計を済ませるものだと勝手に想像していたのに、そこにいたのは、むしろ接客の手本のような店員さんだった。
その瞬間、私は気づいた。
「愛想の悪い店員」という人物像は、その人の本当の姿ではなく、私が勝手に作り上げていたものだったのかもしれない。
人は限られた情報から相手の物語を作ってしまう
私が「愛想の悪い店員さんだな」と感じたのは、その人の性格を知っていたからではない。
入店した瞬間に目に入った情報から、勝手にそう判断しただけだ。
厨房は忙しそうだった。普段よりお客さんも多かった。店員さんの表情にも余裕は感じられなかった。
さらに、こちらの顔を見ることなく席へ案内された。
そうした一つ一つの情報が積み重なり、私の中で「愛想の悪い店員」という人物像が作られていった。
しかし今振り返ると、それは店員さん本人を理解した結果ではない。
限られた情報から、私が勝手に補完した物語だったのだと思う。
人は知らない相手だからこそ、足りない部分を自分の経験や先入観で埋めようとする。そして、その想像は思っている以上に簡単に人物像へと変わってしまう。
第一印象は「変わる」のではなく「更新」される
ただ、本当に変わったのかと改めて問い直したい。
変わったのは、店員さんではない。
新しい情報を得た私が、頭の中で作り上げていた人物像を書き換えただけなのかもしれない。
第一印象は、一度決まれば未来永劫固定されるものではない。
最初に得られる情報はほんのわずかだ。
しかし今回のように、たった一時間でも、その人の印象は更新されることがある。
学校でも、最初は怖そうだと思っていた先生が、卒業する頃には一番好きな先生になっていたという話は珍しくない。
会社でも、「話しかけづらそう」と思っていた上司が、実は誰よりも相談しやすい人だったということがある。
恋愛でも、第一印象では何とも思わなかった相手を好きになることもあれば、その逆もある。
私たちは相手を知るたびに、新しい情報を受け取り、その人の印象を少しずつ更新しながら人間関係を築いているのだ。
第一印象は信じるべき、でも信じすぎてはいけない
だから私は、第一印象を信じすぎないようにしたいと思った。
第一印象は、その人を知るための入り口としては大切だ。
しかし、それだけで相手を決めつけてしまえば、本来見えるはずだった一面を見逃してしまうかもしれない。
もちろん、第一印象が最後まで変わらない人もいるだろう。
それでも、新しい情報が入るたびに、「もしかしたら違うのかもしれない」という考えを持つことは、人を見る上で大切なのではないだろうか。
私たちは相手を見ているようで、本当に見ているのは、自分の頭の中で作り上げた「その人」なのかもしれない。
第一印象とは、その人物を決めるものではない。
限られた情報から仮に作り上げた人物像であり、その人物像は、新しい情報を得るたびに少しずつ更新されていく。
だからこそ、第一印象は大切でありながら、同時に信じすぎてもいけないのだと思う。
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